曲目:Angel Feet(←試聴),I Remember You,Bebop Tango,Good
Mornig Heartache,Voyage他全10曲収録 |
メンバー:David Gordon(p)Ole Rasmussen(b)Paul Cavaciuti(ds) |
英国のジャズとクラシック両フィールドで活躍し、自己トリオの他、テオ・トラヴィスやクリスチャン・ガーリックのサイドでも辣腕を発揮、過去このZah
Zahレーベルから出た2作品が大評判を呼んでいたピアニストの、レギュラー・トリオによる最新作。ヨーロッパの抒情派特有の研ぎ澄まされたクール&ビタースウィートな耽美的ロマンティシズム表現と、オーソドックスなモード&ブルースのイディオム(〜新主流派の基本様式)、の双方をバランスよく活かしきった、味わい深く親しみやすい、そしてスリルも充分の中々フレキシブルな闊歩邁進が続いて行く爽快内容である。曲毎にリズム・パターンも様々に変転する、アクティヴ・バラード・タイプの明晰で表情豊かなリリカル路線的行き方が主軸となっており、起伏に富んだドラマティックな道筋をイキイキと形成。→内省的・瞑想的ムードも漂うしっとりとした甘美な(アート系っぽい)スペイシー・インタープレイやおおらかな牧歌的スロー・バラード、バップ〜ブルース〜モードといったストレートアヘッドな風趣を強調した重みと締まりあるボサノヴァ、バロック語法を活用しつつ勢いよくリズミカルに跳ね躍る立体力学的チェンバー風、しんみりとしたアンニュイな憂愁世界を渋いブルージー語法と甘い耽美派文体の折衷で奥行き豊かに活写する構成的(文学的)リラクゼーション趣向、駆け足的4ビートでダイナミックに突撃スイングする全き正攻法の勇猛モーダル熱演、等、バラエティーに富んだ縦横無尽の立ち働きを見せながら、ハンコックやエヴァンスの典型文体をその基底に置いた輪郭明媚なわかりやすい文脈を紡ぎ上げてゆくp者の、均整ある生鮮快活な語り口が冴えており、随所にその存在を際立たせるb者のシャープ&スピーディーなバウンド・アクション的鳴動も美味しいアクセントを成している。繊細な詩情とシンプルな娯楽性を巧く併合した、味のある佳品。 |
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